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カミガミの物語

ショートショートコンテストで優秀賞をいただいた「びん」を書く動機となった、漂着:寄り来るもの、というテーマは、もっと広いものに包含されていた。それは日本神話や「カミ」についてである。学生時代から現在まで、このテーマで作品を書きたいというモチベーションがあり、実際にいくつかの作品を書いた。同人誌の北西航路や連絡誌の風の翼に載せていただいた。「山の章」、「異邦人たち」、「香香背男」、「鎮金歌(たましずめのうた)」、「漂着」、「神様について」や、このブログに以前掲載した「村」などがそれにあたるだろう。先月(2013年2月17日)お亡くなりになった岩田慶治さんの『カミの人類学』(講談社 1979)や大林太良さんの『日本神話の起源』(角川選書 1973)などを愛読していた。とくに、『カミの人類学』にはある思い出があり、いつかこのブログで書くことになると思う。自分でも、記紀(古事記、日本書紀)を読んで、無謀にも論文(と思いこんでいるが、まあ感想のようなもの)を『季刊人類学』という学術雑誌に投稿したこともある。もちろん、丁寧な手紙とともに不採用として返送されてきた。1981年のことである。(ショートショートコンテストに「びん」を応募したのが翌年の1982年)この論文(作品)は、改稿して「風の翼」6号(1982年)に「記紀・他界の旅」というタイトルで載せていただき、それをもとに「香香背男」という作品にして「北西航路」6号(1983年)に載せていただいた。ことほどさように「カミ」とか「神話」が好きなのである。そしてどこにも発表や投稿をしていない手持ち作品の中にも、記紀神話に出てくるカミを登場人物にした作品がある。「ある国造り」というタイトルを付している。神の名前にルビがふってある。ルビの部分は[  ]で示しておく。

転載のため掲載を中止しました

原稿用紙7枚強。タイトルが「国造り」で本文では「国作り」となっているのは、タイトルの字づらを考えたから。実はこの原稿は二つある。いつごろ書いたかは不明。ひとつはカミの名前が引用した原典どおりで、同じカミでもいくつかの呼称になっているのをそのまま使っている。たとえば大国主神を葦原色許男命とか大穴牟遅と記している。(いずれも大国主神の異名)ここに写したのはカミの名前は統一して、ルビも振っている。おそらくこちらがあとから改稿したものだろう。二稿も書いたのにどこにも載せなかったのは、こんなふうに冗談っぽくカミガミを扱っていいのだろうかという畏れがあったのかもしれない。それと、多少記紀あるいは出雲神話の知識がないと話の背景がわからないので、なんのこっちゃと思われるかもしれないので躊躇したのだろう。でも自分としては好きな作品なので、読んでみてほしい。



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